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高一男子の憂い0

無骨なアスファルト一面を、無数の紅い桜の花びらが支配していた。

どこからか、ゴーンと穏やかな鐘の音が聞こえてくる。

見慣れぬ真新しい建物に囲まれて、マナブはうっとりと吐息を漏らした。

ポケットの握りこぶしに込めた期待は、確信に変わった。

「この高校で、僕は―――」

くっと澄んだ空を見上げる。

マナブは校門に足を踏みいれると、徐々に早歩きになる足を、もう抑えることが出来なかった―――




「……はあ~」

新一年生の部活紹介が一通り終わったあとのことだ。

僕は廊下を戻りながらため息をついていた。

学園での新生活について(主に学業)の諸注意。大勢の見知らぬ人だかり。部活のこと。

いっぱいの”新しい”が襲ってきた。

床のタイルを縫うように歩きながら、僕は少し疲れかけていた。

―――そんな僕の肩を叩いたのは、なんと悪がき時代を共に過ごした友だちだった。

「おわ、マナブじゃねえか!お前もこの学校だったのか!」

「タっちゃん!え、ほんと?すごい!!」

タっちゃんも受験戦争を勝ち抜いて、この学園にやってきたのだ。

身体はずいぶんと大きくなったが、笑顔は昔の頃そのままだった。

「ね、タっちゃんは何部に入るか決めた?」

「おう、俺はもちサッカー部だぜ!やっぱ運動部だよな~男ならっ!マナブは?」

「あ~……それが、まだ決まらなくて……運動は微妙なんだよね~僕」

「まーマナブはそういう感じじゃないもんな~……でも一念発起してみるのもいいんじゃねえ?」

「う~ん……」

「一年勃起、なんちゃって!へへへっ」

「おい!」

「あ、俺これからサッカー部見に行ってくるから!まーお前も色々回ってみたらいいかもな!じゃーな」

「う、うん!じゃ!」

軽やかに駆ける後ろ姿を目で追いながら、僕は少し恨めしい気分になった。

やっぱタっちゃんは、何でもスッパリ決められてすごい。

僕はタっちゃんのそんな所が大好きだった。そして僕にも、そんな意思の強さがあれば……



ふわり……





「……!」

途方に暮れかけた僕の眼前を、美しい影がすっと通った。

流れるような髪に、スッとした見事な大人のプロポーション。

こ、こんなきれいな女の先輩が、この学校にいるなんて……!

もはや一目ぼれだった。

「声を掛けなくちゃ……!」

居ても立ってもいられなくなった僕は―――


1.母性が感じられる穏やかそうな少女 に声を掛けた。
2.凛とした眼差しの真面目そうな少女 に声を掛けた。

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