姉への扉

自分にはまだ伝えたい事があるのに、
どういう訳かその子はそれを知っていて、それを知っているかのように、優しく微笑んでいた。それを見て、僕は何処か気が抜けたように安心するのだった。
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あの子のことを想い出すといつも、海の濃青と、穏やかな空に流れる潮風の香りが、ふと胸に寂しく去来する。
小学4年生の生意気盛りの頃だった。
海岸に触れる場所に住んでいたが、内陸の方はおよそ密な緑に覆われて、その地は確かに子どもをおかしくする魅力を湛えていた。
常夏の午後、学校から帰ったあとの集合場所へ向かう途中、小さな崖を這い登る。当然自ら開発した路であり、ある種少年の誇りだった。
そこからいつもの様に垂れ下がる木々に挑むように飛び込み、向こう側に出たはずだった。
おかしい。
実際おかしかったのだが、その罪も知らない幼さがそう感じさせなかった。
林を抜けたと思われた先、さらに獣道が続くのだった。
導かれるように、無心で身体を突きすすめ、路無き路を切り拓き―――
ついに幼き開拓者は、白い森先に、立派な秘密基地を見出した。
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その秘密基地は古惚けた木造の寺の様だった。柔らかい木漏れ日を纏い、薄埃の中佇むそれは神々しく、近寄り難い風体を醸していた。
縁側に、中学校の制服を着た女の子が座っている。
可愛らしく微笑み、こっちに手招きをしている。
場の状況なのか、その子の雰囲気なのか僕には分からなかった。ただ何かが背を押すように、気づいたら少女の隣に座っていた。
もしかすると、この時に彼女の正体に気づいていたのかもしれない。
「君かわいいね、何処から来たの?」少女が尋ねる。
「えっ、と、・・・。」
少女は大きな目でじっと僕を見つめる。
羞恥で顔が熱く火照る。思わず下を向いてしまう。
「ふふっごめんごめん、知ってるって。・・・ね、私と恋人さんごっこしよ?」
「・・・っ!」
少女が上から覆い被さり、濃厚なキスをしてくる。
官能的に舌を犯され、脳が蕩ける。甘い。むくむくと勃起してしまう。
「きゃっ!」
頭がぼうっとして、腰をかくかくと犬のように振って、少女の華奢で肉付きの良い躰にペニスをこすりつける。
きもちいい。
すごくきもちいい。
あまりの興奮で、すぐにイきそうになってしまう。
「・・・ふふっ、気持ち良いの?」
「はあっ、はあっ、うう・・・」
罪悪感が極度の興奮に呑まれ、絶頂することのみに囚われる。
少女の、美しい純白の太ももにペニスを擦り付けること、それがこの愛しさを表すことにさえ思えた。
「おちんちんココに擦り付けるの、そんなに感じる?・・・じゃあ手伝ってあげる」
少女はおもむろに、太ももを僕の股の間に割って入れ込むと、ぐいぐいと前後に動かしてくれた。白い柔らかな少女の肉体と、追い詰めていく振動で、頭の中に霞がかかる。
「うあっ、あっ、もう・・・!」
少女の柔らかな躰に幼児の様にぎゅっとしがみつきながら絶頂する。
淫靡な太ももに潰されたペニスがびくびくと痙攣するが、流石に精液はでない。絶頂の甘い余韻で力が抜ける。
「もう、情けない彼氏くんだなあ~」
「はあ・・・はあ・・・」
「こんな恥ずかしい彼氏くんは、ふふ、カノジョさんが鍛えてあげないと、だね」
少女は僕の腕を身体ごと足で挟み、仰向けになった身体の上に馬乗りになると、パンツに手を入れ後ろ手で直にペニスを握ってきた。

「うっ!」
絶頂したばかりで敏感になっていて、思わず声が出る。
「おちんちんの皮ムいちゃうね・・・えいっ」
「あっいたっ・・・」
「じゃあ手でシコシコしてあげる。イったばかりで辛いかもしれないけど、我慢我慢♪ すぐ気持ちよくなっちゃうからね」
「痛ああっ!あっ!あっ!んあ゛ああああっ・・・!」
手足をばたつかせてもがき暴れるが、上半身を少女の股に挟み込まれて身動きが取れない。
「うふふ、苦しい? よがってる顔も可愛いよっ」
目線の先に上下する自分のズボンを見て、あの中で僕のペニスが少女の白い手でいやらしくこねくり回され、シゴき立てられているのを想像するうち、徐々にかの切ない気持ちがこみ上げてくる。
「あっ、あっ、またっ・・・!」
「いいよ・・・っ、イっちゃい、なさい・・・!」
シコシコシコシコ・・・手の動きが早くなり、もう何も考えられなくする。
背筋が反り返り、腰が手の動きに合わせてカクカクと勝手にうごく。
ただ少女の手に支配されて、無様に射精してしまいたい、
少女の片手で喜び悶える犬になってしまいたい・・・!
「ああああっ!もうだめえっ!」
「ふふっ、じゃあシコシコはおしまい。」
ぱっと手がペニスから離れる。
絶頂できない余りの切なさに泣きそうになる。
「えっ・・・?」
「んふふ、かっわいい~!・・・でもまだ我慢だよっ」
「そんなあっ・・・」
暫く太ももをさわさわと愛撫される。たぎりが収まってきたのを見計らって、再び激しくペニスが少女の手中でシゴき抜かれる。
赤くなった亀頭とカリが特に刺激を受けるよう、細く白い指の輪の中で、ペニスがぐちゃぐちゃに責め立てられ嫐られる。
その指使いはまさに、男を乱れさせる女のそれだった。
「ほらほらほら、私の手、気持ちイイ?」
「う・・・あっ、で、でちゃうっ・・・」
「まだだ~めだよ」
またもやペニスから手の感覚が消え失せる。
「な、もっとシコシコしてえっ・・・!」
「だめだよ、まだホントの恋人がすることをしてないんだから。」
「え・・・?」
そういうと、彼女は腰を浮かせて僕のズボンと下着をずりおろし、さらに自分の下着を横にずらした。初めて見る女性の秘部、濡れそぼった桃色の路。迫り来る淫猥な影に、幼き開拓者は、戦慄した。
「あのね、ここに君のおちんちん食べられちゃうんだよ」
「え?い、いやあっ・・・!」
「逃げちゃだめ。じゃあいただきまーす」
「うあああああん!!」
少女は一息に腰を降ろす。下半身が得体のしれない温もりにまみれ、一方でそれを安堵したかのように力が抜け落ちていくのを、僕は霞みつつある頭で感じていた。
白い少女が淫靡に踊る。
僕を服従させる動きに、どこか慈しみを纏って踊る。
僕は我慢の限界に達し、腰を引きながら悶える。それを見て、少女は僕の胸にしなだれかかりキスをしてくる。
脳を犯すようなキスをし合う、そこには後戻りの出来ない危機感と、それに幸福感があった。
それは僕が彼女の中に自分自身を見出せた、理解を超越した安心感、今まで欠けていたものが戻ってきたかのような・・・
僕は初めて、この愛しい少女によって、自分を知ったのだった。
幸福感が最高潮に達した時、僕は彼女の中に盛大に精液を送りこんでいた。
身体全体が反り返り、腰がいうことを聞かず上下に暴れる。鳥肌が立って快楽の波に呑まれるように痙攣を起こした。
初めての快感に脳が耐えきれず、意識が遠くなって行く。
「好きだよ。」
耳もとで、少女は囁く。
白く霞ゆくなかで、彼女は僕の頬に優しく口づけをした。
「好きだよ。」
僕は、僕も・・・詰まる想いを伝えるようとしたが、濃い白霧の中に意識が沈んでいった。
受け取った想いを、胸に秘めたまま・・・・・・
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目覚めた時、辺りは既に闇につつまれ、彼方に星が消え入りそうにそうに瞬いていた。どうやら物置小屋の裏にいるらしく、慌てて家に飛び帰り、親にこっぴどく絞られた。
それからも、あの秘密基地に行こうとしたが、もう二度とそこへ辿り着くことは無かった。
僕には姉がいたらしい。病弱で、僕が産まれる前に他界してしまったそうだ。
僕は今なお日々に生きて、不意によぎる彼女の影を探す。
そしていつか、いつかあの少女に出会うとき、伝えたいことがある。
あの日起きたことはいつまでも、僕の心を掴んで離さない。
妄想だったとしてもいい。
夢でも幻でも。
僕は穏やかな木漏れ日の中、姉に出会ったーーーーー

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